2009年02月03日
音の手がかり

映画撮影中の事故で失明したハリウッドの元音響技師ハーレック。彼の姪のジェイニイが、何者かに誘拐された。彼女はどこにいるのか? 犯人からの電話の背後には、電車のブレーキ音や風鈴の音や音楽がかすかに聞こえる。犯人の居場所をたどる唯一の手がかりは、この背後の音のみ! 鋭敏な聴覚だけを頼りに、ハーレックが誘拐犯に迫る。
裏表紙ストーリー紹介より
ミステリーで視覚障害者の主人公といえば、全盲ならブルース・アレグザンダーのジョン・フィールディング、ブリジット・オベールのエリーズ・アンドリオリ、隻眼だとジョン・クリシーのリチャード・ローリソン、モリス・ハーシュマンのスティーブ・クレイン、ポール・エングルマンのマーク・レンズラー、ローレン・D・エスルマンのラルフ・ポティートらがいます。しかし、盲目ゆえに事件を解決できたのは、この「音の手がかり」のジャック・ハーレックが初めてでしょう。
その目新しさが評価されたのか、「このミス」でもベスト・テンに選ばれています。
次作の「音に向かって撃て」と第3作の「復讐の音響」は、どちらも「音の手がかり」の後日談にあたり、ハーレックの活躍で逮捕された凶悪犯が、彼に復讐するためにふたたび姿を現します。
ハンディキャップにつけこまれるというありがちなストーリーで、以後、映画界に戻って撮影中の犯罪に巻きこまれるとか、分析官としてFBIにスカウトされるとか、シリーズが新しい局面を迎えるのではと期待していたのですが、いっこうに新作が発表されず、ネットで調べてもほとんど情報が見つかりません。
3作だけで終わってしまったのだとしたら、ちょっと勿体ないキャラクターですね。
スキャノンがごくりと飲む音をハーレックが聞いている間、短い時間が過ぎた。氷を鳴らし、喉を液体が通る音を立て、不用意にアルコールくさい息を吐く。ハーレックの鼻はほかの人の気づかない、気づくことの出来ないことに気づいていた。匂いを嗅いで、彼が当分お目にかかることがないかも知れないシーバス・リーガルを選んだことがわかった。
視力を失うと、ほかの五感が鋭敏になるそうです。ウイスキーのテイスティングのときも、目を閉じていたほうが風味を感じやすくなるのかな。
バーで支払いするときに、視界がぼやけるのはいつものことだけれど。
シリーズ・リスト
「音の手がかり」 新潮文庫 1993
「音に向かって撃て」 新潮文庫 1994
「復讐の残響」 新潮文庫 1998



